焚き火を見ると睡眠の質が向上し、脳にも良い影響があるという
漠然とした情報を鵜呑みにし、
某外国製商品のデザインを真似して(パクリともいう。)
併設の鉄工所で試作してもらった焚火台。(未仕上げ)
いざ使ってみると結構な火柱と灰がブチあがり、
庭で使うことは泣く泣く諦めました。
こんにちは、スイミー建築舎です。
(併設の鉄工所、松岡鉄建(有)では
建築・船舶の鉄鋼加工等承ります。お気軽にご相談ください。(商魂・・!))
令和2年4月1日施行の改正建築基準法、
前回は『敷地内通路』と、『2以上の直通階段』について触れました。
今回は『避難安全検証法(ルートB)』の改正についてです。
まずは避難安全検証法について簡単におさらいを。
避難安全検証法(ルートB)とは、
建築基準法施行令129条~129条の2の2に規定されていた性能規定です。
検証対象部分の在館者が避難を完了するまでに
煙にさらされないよう検証(計算)することで
一部の防火避難規定を適用除外、つまり「やんなくてもいいよ~。」状態にできるもの。
(ちなみにルートAは従来の仕様規定、
ルートCはより高度な検証を行う大臣認定を指します。)
人が避難するまでにかかる時間のうち最も長いものと、
最終出口のある室の床面から高さ1.8mに
煙が降りてくるまでの時間を比較します。
要するに人と煙のかけっこです。
人が先に出口を通過すればOK、煙が先ならNGといった具合に。
この検証法、「平面形状」はもちろん、
「開口部の性能」と「天井高さ」が結果に大きく影響します。
遮煙性能のある建具を使えば、その部分の煙伝播は遅くなりますし、
天井高さを上げればまた然り。
ただし、煙の降下時間tsの算定式は以下のようになっており、
天井高さは高ければ高いほど延びるわけではありません。
煙の降下時間ts= A(Hroom-1.8)/max(Vs-Ve),0.01)
(A:当該床面積、Hroom:基準点からの平均CH、Vs:煙発生量 Ve:有効排煙量)
だいたいCH5.8m前後で頭打ち、それ以降はむしろ
ゆるやかに落ちていくようです。
よく使用される用途としては郊外型店舗が挙げられます。
一般的に店舗は室面積が広いことから、排煙窓が取りにくく、
排煙告示(1436号)も適用しづらいのですが、
避難安全検証法では、その広い室面積や高い天井により
煙降下時間が長くなり、検証をクリアしやすい傾向があります。
逆に各室面積が小さく、出口も1箇所のみのケースが多い
ホテルや集合住宅では、居室避難をクリアし辛いため
こういった用途では検証法はあまり利用されません。
それでは改正内容について見ていきましょう。
今回の改正内容は大きく2点。
①新たな検証単位の追加(区画避難安全検証法の追加)
②新たな判定方法の追加(煙高さ判定法の追加)
①新たな検証単位について
施行令128条の6、および告示509号が新設され、
「区画」避難安全検証法が加わりました。
(参考)
これまでは特定の階の避難安全を検証する「階」検証と
建築物全体について検証する「全館」検証だけだった、
つまり最小単位が「階」だったのですが、
より小さな単位である「区画」での検証ができるようになったのです。
この「区画」とはどういうものか。
新設された令128条の6を読んでみると、↓
令第128条の6(新設条文)
居室その他の建築物の部分で、準耐火構造の床若しくは壁
又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で第112条第
19項第二号に規定する構造であるもので区画されたもの
(二以上の階にわたって区画されたものを除く。
以下この条において「区画部分」という。)のうち、
当該区画部分が区画避難安全性能を有するものであることについて、
区画避難安全検証法により確かめられたもの(主要構造部が
準耐火構造であるか又は不燃材料で造られた建築物の区画部分に限る。)
又は国土交通大臣の認定を受けたものについては、
第百二十六条の二、第百二十六条の三及び前条(第二項、第六項及び
第七項並びに階段に係る部分を除く。)の規定は、適用しない
つまり建築物の一つの階の中で
準耐火構造の床・壁・防火設備(遮煙要、常閉または煙感連動閉鎖)で
区画された部分を指します。
この区画内のみをルートBで検証し、
それ以外の部分は従来通りの仕様規定等とすることができるのです。
そしてこの「区画」検証で緩和される条項は、
当然「全館」や「階」に比べて少なくはなりますが、
大本命である排煙設備についてが適用除外となるため、
大いに利用できそうです。
⋆1:屋内からバルコニー又は付室に通ずる出入口に係る部分に限る
⋆2:第2、6、7項、および階段に係る規定は除く(適用除外とはならない。)
ちなみに今回、全館避難・階避難に関する政令・告示も改正されています。
が、記号や一部の言い回しが変わってはいるものの、
計算方法は改正前と変わりません。
(参考)
これまで、部屋数や屋外出口の多い建築物では
設計する側も審査する側も難儀だった検証法ですが、
「区画」避難安全検証法を使うことによって作業量をかなり削ることができそうです。
②新たな計算方法の追加について
従来の計算方法「避難時間判定法(=ルートB)」に加えて
新たな計算方法である「煙高さ判定法(=ルートB2)」が
改正によって追加される予定です。
(現時点では告示未制定で使用できる状態ではありません。)
どんなものか、ざっくりお伝えすると・・・
従来の「避難時間判定法」では、大量の煙が定速で発生するモデルだったので
小規模居室では適用が難しかったのですが、
新たに制定される予定の「煙高さ判定法」では
より実態に近い、精密なモデルになるようです。
故に計算式はやや高度になることが予想されますが、
これまで検証法の対象となっていなかった児童福祉施設等の用途でも、
通所利用であれば適用可となる(予定)とのこと。
これらの改正によって、
これまであまり使用頻度の高くなかった避難安全検証法が
少し身近なものになるのではないでしょうか。
長くなりましたが最後までお付き合いいただきありがとうございました!
次回は内装制限に関する改正についてお伝えする予定です。
それでは!
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